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「自閉スペクトラム症」一般雇用で年収350万円でも、就労と日常生活の困難が認められ障害基礎年金2級を受給できた事例

30代男性 塩尻市

病名:自閉スペクトラム症

結果:障害基礎年金2級

<相談者の状況>

相談者様は保育園の頃からこだわりの強さ、多動、衝動性が見られ、小学校からは過集中や周りとのコミュニケーションがうまくでず孤立してしまうなど、自閉スペクトラム症の特性から非常に困難を抱えながら過ごされてきたとのことでした。

非常に努力家な方で、困難を抱えながらも文字通り歯を食いしばって努力し、中学、高校、大学と進学され、現在は一般企業で社会人として働いていらっしゃいました。年収も350万円以上と、一見すると障害年金に該当されていないように思われましたが、お話をお伺いするうちに、①非常に特別な配慮を受けてどうにか就労が成り立っていること、②家族の支えがなければ日常生活が成り立たない状況であることが分かり、障害年金に該当するのではないかと思われましたので、申請をする運びとなりました。

 

<受任から申請まで>

初診は小学校低学年とのことでしたので、障害基礎年金での申請でした。障害基礎年金は2級からで、基準としては、病気によって「日常生活が著しい制限を受けている」と認められることが重要です。また、前提として一般的な就労ができていないことも基準に含まれます。

①相談者様は一般的な年収があり、一般企業にお勤めでしたが、業務の実態としては一般的な就労ができているとは言えない状況でした。通常業務ができないため特別に単純作業を切り出して与えられており、他の従業員からは不満が出ていました。特性からなかなか集中できない様子もあり、ご本人としては「いつ辞めてくれと言われてもおかしくない状況」とのことでした。

②日常生活では鍵の閉め忘れ、火の不始末、金銭管理ができないなど、ひとり暮らしができるとはとても思えない状況のため、ご両親と同居し、ご両親の見守りの中で過ごされていました。

 

これらの状況が適切に反映された診断書を作成いただけるかが、今回の申請での一番の鍵でした。そのため、相談者様の現在の状況を細かく聞き取りし、その情報を詳しく記載した書類を作成して診断書の依頼を行いましたが、主治医の先生のお考えもあり、診断書を作成いただくことが難しい状況でした。その後は、主治医の先生との関係性をご心配された相談者様からの希望により、一時は申請を断念されました。

その後、申請を断念されて4年後に再度ご連絡があり、「主治医の先生が変わり、自分の状況にも変化があったので、障害年金の申請に再挑戦したい」とのご連絡がありました。改めてお話を伺うと、新しい先生は病状や就労状況、日常生活状況について非常によくご理解下さり、4年前から見ても状況が悪化しているので、障害年金の申請をしてみたらどうかとのご意向とのでした。そのため、すぐに現在の状況を詳しく反映した書類を作成し直し、診断書を依頼したところ、「世間一般の一般就労であるとはとても言えず、本来であれば就労困難」であることや、「日常生活では家族の援助が必要」との診断書を書いていただくことができました。

 

<結果>

障害基礎年金2級の受給が決定しました。

途中の中断を含めるとご依頼を受けてから約6年と非常に長い時間がかかりましたが、やっと障害年金の受給が決定し、相談者様も非常によろこんでおられました。主治医の先生からも「受給できる病状だと思ったから、本当に良かったね」とお話があったと聞き、主治医の先生に病状をよくご理解いただけたこと、相談者様が主治医の先生に病状をしっかりとお伝えできたことが、今回の受給に繋がったと感じました。

 

就労している方の障害基礎年金受給は難しい場合が多いですが、「一般的な就労ではなく本来は働くのが難しい病状」かつ「周囲の助けがなければ日常生活が成り立たない」状況である場合は受給の可能性がありますので、ぜひご相談ください。

 

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