亜急性硬化性全脳炎について
1. 亜急性硬化性全脳炎とは
亜急性硬化性全脳炎は英語ではsubacute sclerosing panencephalitisといわれ、その頭文字をとってSSPEともいわれています。麻疹(はしか)ウイルスによるゆっくりと進行する脳の炎症(脳炎)です。麻疹に感染してから、数年の潜伏期間(5~10年)の後に発病するという特徴があります。発病後は数月から数年の経過(亜急性)で神経症状が進行します。治療法は確立されておらず、現在でも予後が悪い病気です。
このように潜伏期間が数年と著しく長く、ゆっくりと進行するウイルス感染を遅発性ウイルス感染と呼んでいます。SSPEはその代表的な病気の一つです。
2. この病気の原因はわかっているのですか
麻疹ウイルスによる脳内での持続感染が原因です。このウイルスは脳内で潜伏している間に変化し普通の麻疹ウイルスとはやや異なった性質をもつようになり、SSPEウイルスといわれています。普通のウイルス感染と異なり、長い潜伏期間の後に発症しますが、なぜ、このように長い潜伏期間の後に発病するのかということについてはまだ十分わかっていません。
3. この病気にはどのような治療法がありますか
根本的な治療法はまだありません。現在いくつかの治療法が保険診療で承認されています。
免疫機能を調整する薬剤としてのイノシンプラノベクス(イノシプレックス)を口から服用する薬剤、ウイルスに対する薬剤(抗ウイルス剤)として、インターフェロンの脳内への投与(髄腔内あるいは脳室内)の併用がもっとも用いられている治療法です。また、最近では、リバビリンという抗ウイルス剤の脳室内投与も試みられています。
「亜急性硬化性全脳炎について」の関連記事はこちら
- ADH分泌異常症について
- PRL分泌異常症について
- アミロイドーシスについて
- ウェゲナー肉芽腫症について
- オリーブ橋小脳萎縮症について
- クッシング病について
- クロイツフェルト・ヤコブ病について
- クローン病について
- ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病について
- ゴナドトロピン分泌異常症について
- サルコイドーシスについて
- 多系統萎縮症 シャイ・ドレーガー症候群について
- スモンについて
- パーキンソン病として
- パーキンソン病関連疾患として
- バット・キアリ(Budd-Chiari)症候群について
- ハンチントン病について
- ビュルガー病(バージャー病)について
- ファブリー病について
- ベーチェット病について
- ミトコンドリア病について
- モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)について
- ライソゾーム病について
- リンパ脈管筋腫症(LAM)について
- 亜急性硬化性全脳炎について
- 悪性関節リウマチとして
- 黄色靭帯骨化症について
- 下垂体機能低下症について
- 下垂体性TSH分泌異常症について
- 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)について
- 球脊髄性筋萎縮症について
- 強皮症/皮膚筋炎及び多発性筋炎について
- 筋萎縮性側索硬化症について
- 結節性動脈周囲炎・結節性多発動脈炎について
- 顕微鏡的多発血管炎について
- 原発性胆汁性肝硬変について
- 原発性免疫不全症候群について
- 後縦靱帯骨化症について
- 広範脊柱管狭窄症について
- 拘束型心筋症について
- 混合性結合組織病について
- 再生不良性貧血について
- 重症急性膵炎について
- 重症筋無力症(公費対象)について
- 重症多形滲出性紅斑(急性期)について
- 神経線維腫症Ⅰ型(レックリングハウゼン病)について
- 進行性核上性麻痺について
- 脊髄小脳変性症について
- 脊髄性筋萎縮症について
- 先端巨大症について
- 全身性エリテマトーデスについて
- 多系統萎縮症について
- 多発性硬化症について
- 大動脈炎症候群について
- 大脳皮質基底核変性症として
- 致死性家族性不眠症について
- 間脳下垂体機能障害
- 潰瘍性大腸炎について
- 天疱瘡について
- 特発性拡張型(うっ血型)心筋症
- 特発性間質性肺炎について
- 特発性血小板減少性紫斑病について
- 特発性大腿骨頭壊死症について
- 難治性肝炎のうち劇症肝炎について
- 膿疱性乾癬について
- 肺動脈性肺高血圧症について
- 肥大型心筋症について
- 表皮水疱症(接合部型及び栄養障害型)について
- 副腎白質ジストロフィーについて
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎について
- 慢性血栓塞栓性肺高血圧症について
- 網膜色素変性症について